低温調理

A型肝炎ウイルス 食中毒予防のために

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概要

  • A型肝炎ウイルス(hepatitis A virusA型肝炎を引き起こすウイルス。
  • A型肝炎ウイルス(HAV)は、汚染された食物および水の摂取、または感染性のある人との直接的な接触によって伝達される。
  • ほぼすべての人がA型肝炎から完全に回復し、免疫が生涯続く。しかし、A型肝炎に感染した人のごく少数は、劇症肝炎で死亡する可能性がある。
  • 環境中及び食品中では増殖できないが、感染力を保ったまま残存する。

出展:東京都感染症情報センター ホームページより

症状

どれくらいの数のウイルスで発症するのかは不明

潜伏期間 26週間 平均4週間

発熱、嘔吐、黄疸、肝腫大、濃色尿、灰白色便等

小児では不顕性感染や軽症のことが多い。 年齢とともに顕性感染の割合が増える。

発症した場合、加齢とともに重症化(劇症肝炎、死亡)する傾向にある。

原因食品

多くは生又は加熱不十分な魚介類(特に貝)によるものである。 (国立感染症研究所, 2002a)

患者の糞便に汚染された飲食物。国外感染事例(108 )では、海産物(33.3%)、野菜・フルーツ(12%)、水(25.9%)等が感染源として推定されています。 (20042008 年)

予防・対策

  • 十分に加熱する。85℃1分以上
  • 調理前、 食事前の十分な手洗い・消毒
  • また、A 型肝炎の常在地域となっている国や地域への渡航者は、生水、生野菜などの非加熱食品の飲食を避けるだけでなく、ワクチン接種による予防も有効

汚染実態

  • 我が国では、2001年以降の流通食品の調査結果で、生カキなどの二枚貝で 1%程度の汚染が認められていますが、その汚染量はきわめて少量とされています。その他の食品での汚染実態は不明です。 (食品安全委員会 ファクトシート)
  • 20062010年に、市販の国産生食用カキ89ロットを調査した結果、A型肝炎ウイルス遺伝子は検出されなかった。 (入谷ほか, 2010
  • 20102012年に、市販の国産生食用カキ26ロットを調査した結果、A型肝炎ウイルス遺伝子は検出されなかった。 (平成2224年度厚生労働科学研究費補助金食品の安全確保 推進研究事業, 2013

死滅温度と時間

60ºC以下のHAVのデータは限られています(Bertrand 2012)。肉や甲殻類の熱不活性化データはほとんどありません。

D値は菌株、脂肪量、pH、水分活性その他の要素で異なります。D値とは菌数を10分の1にするのにかかる時間。

HAVD値 (MPI,2016)

細胞培地

50℃ 56385分 56℃8.4分 60℃ 2.774.6

甲殻類

50℃ 54.2分 56℃ 9.2分 60℃ 3.36.5

50℃ 42.1分 56℃ 20.6分 60℃ 5.9

D値を使って安全を考える上でD値の確かさは重要です。しかし、A型肝炎ウイルスについての60℃以下の温度でのデータが少ないため、D値そのもの確かさが確保されません。A型肝炎ウイルスの不活性化については60℃1時間で50%のみの不活性化、66℃でほぼ完全に不活性化されるとの研究がある。

A型肝炎ウイルスの汚染が疑われる食品は十分な加熱(85℃1分以上や75℃30分以上)を行いましょう。

おわりに

食中毒の原因のひとつであるA型肝炎ウイルスについて、正しく恐れるための参考になればと思います。正しく恐れ、正しく予防・対策をすることで食中毒にならないように。また高齢者、妊婦、小児等の一般的に抵抗力の弱い方については、より一層の注意が必要です。

参考:国立感染症研究所HP

農林水産省 食品安全に関するリスクプロファイルシート

食品安全委員会 ファクトシート

内閣府 平成21年度食品安全確保総合調査 「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」 社団法人 畜産技術協会作成 平成223

厚生労働省HP

「食品衛生の窓」東京都福祉保健局 HP

公益社団法人 日本食品衛生協会 HP

WHO HP

MPI - Ministry for Primary Industries New Zealand HP

anses  Data sheet on foodborne biological hazards

Review of Microbial Pathogen Inactivation Relevant to Sous Vide Cooking at Temperatures below 55°C’ MPI Technical Paper No: 2017/35 Prepared for MPI by Beverley Horn and Joanne Hewitt (ESR) Helen Withers, Lisa Olsen and Janet Lymburn (MPI) August 2016

Jun Wen Li, Zhong Tao Xin, Xin Wei Wang, Jin Lai Zheng, and Fu Huan Chao ’Mechanisms of Inactivation of Hepatitis A Virus by Chlorine’ Appl Environ Microbiol. 2002 Oct; 68(10): 4951–4955.

 'Guidance for thermal inactivation of Hepatitis A virus in berries'  MPI Technical Paper 2015/40 Prepared for MPI by: MPI Food Risk Assessment & FSANZ Risk Assessment (Microbiology) December 2015

Suzanne U. Emerson Vidya A. Arankalle Robert H. Purcell ‘Thermal Stability of Hepatitis E Virus’ The Journal of Infectious Diseases, Volume 192, Issue 5, 1 September 2005, Pages 930–933, Published: 01 September 2005

L.Croci M. Ciccozzi D. De Medici S. Di Pasquale A. Fiore A. Mele L. Toti (2001) Inactivation of Hepatitis A virus in heat‐treated mussels









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