低温調理

ノロウイルス 食中毒予防のために

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概要

ノロウイルス(Norovirus)による食中毒は平成29年で食中毒発生件数214件 全食中毒発生件数に占める割合21.1% 患者数8,496人 全食中毒患者数に占める割合51.6%となっており、患者数1位の食中毒の原因となっている。年中食中毒は発生するが特に冬場に流行する。

ヒトの腸管内のみで増殖する。自然界での生存能力が高い。乾燥に強い。 エタノールに比較的耐性をもつ。

出展:「食品衛生の窓」東京都福祉保健局ホームページより

症状

10100個程度のウイルス量で感染

潜伏期間 2448時間

嘔気・嘔吐、下痢、腹痛及び発熱であり、特に嘔吐は突然、急激に強く起こるのが特徴的である。発熱を伴う症例はアデノウイルスやその他のウイルス性疾患に比して一般的に軽度であり、その他に頭痛、咽頭痛、食欲不振、筋肉痛などを伴うことがある。また、極めてまれにけいれんを伴う小児例、脳症の例なども見られる。

原因食品

主に二枚貝 カキ

現在知られているノロウイルスの唯一の保有体はヒトのみである。ノロウイルスは二枚貝が本来保有しているものではなく、二枚貝の体内で増殖することもない。 ノロウイルス胃腸炎患者から食中毒の原因となった食品の原料食材までの汚染経路が実証されているのはカキを含む二枚貝のみであり、 その汚染は、人の便などの中に存在するウイルスが下水、河川等を通じて海水中に混入することが原因となっている。

予防・対策

手洗いの徹底。手洗いあと清潔なタオル、ペーパータオルを使う。

調理器具の煮沸消毒、塩素系洗剤での消毒。

十分に加熱する。(中心温度85~90℃90秒以上)

感染経路

  • 生産海域での貝類の汚染
  • 食品取扱者からの食品の二次汚染
  • 加熱不十分な食品
  • ヒトからヒトへの感染

死滅温度と時間

ノロウイルスの不活化条件は暫定的に85℃1分間。

ノロウイルス属のウイルスのうち、組織培養により増殖できるのはネズミノロウイルスのみで、ヒトに病原性を有するノロウイルスについては、増殖系(組織培養、実験動物)が見いだされていない。

ノロウイルスは培養系が見いだされていないことから、正確な不活化条件が明らかでなく、形態学的にノロウイルスと類似しているネコカリシウイルス、イヌカリシウイルスの成績が参考データとして用いられている。さらに、最近ではネズミノロウイルスのデータが用いられることもある。

近年ノロウイルスの培養に関する論文がいくつか報告されていて、今後ノロウイルスの研究が期待される。

60℃30分間放置した後に感染力を保持した。(Green2007

低温殺菌ではウイルスを排除するには十分ではない。耐性は食物および貝類でより大きいと報告されている。二枚貝の蒸し煮は、ノロウイルスを不活性化する可能性は低い。(HewittGreening2006

冷凍および凍結条件下では、ウイルスは数年間そのまま無傷であり、生存可能である。

代替ウイルスのネコカリシウイルスやネズミノロウイルスでの熱不活性化のデータはあるもののノロウイルスも同様の反応をするの明らかでないためここには載せませんが、気になる方は参考文献を漁って下さい。

おわりに

食中毒の原因のひとつであるノロウイルスについて、正しく恐れるための参考になればと思います。正しく恐れ、正しく予防・対策をすることで食中毒にならないように。また高齢者、妊婦、小児等の一般的に抵抗力の弱い方については、より一層の注意が必要です。

ノロウイルスによる汚染が考えられる食品については、低温調理は避けたほうがよいのではないか。

 

参考:国立感染症研究所HP

農林水産省 食品安全に関するリスクプロファイルシート

食品安全委員会 ファクトシート

内閣府 平成21年度食品安全確保総合調査 「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」 社団法人 畜産技術協会作成 平成223

厚生労働省HP

「食品衛生の窓」東京都福祉保健局 HP

公益社団法人 日本食品衛生協会 HP

野田 衛  「二枚貝を介するノロウイルス食中毒の現状と対策」, 食衛誌 Vol. 58, No. 1

MPI - Ministry for Primary Industries New Zealand HP

anses  Data sheet on foodborne biological hazards

HAYRIYE BOZKURT, DORIS H. D’SOUZA, AND P. MICHAEL DAVIDSON (2012) Determination of the Thermal Inactivation Kinetics of the Human Norovirus Surrogates, Murine Norovirus and Feline Calicivirus, Journal of Food Protection, Vol. 76, No. 1, 2013, Pages 79–84

Hayriye Bozkurt, Doris H. D'Souza, and P. Michael Davidson (2015) Thermal Inactivation Kinetics of Human Norovirus Surrogates and Hepatitis A Virus in Turkey Deli Meat , Appl Environ Microbiol. 2015 Jul; 81(14): 4850–4859.

Heat and High Hydrostatic Pressure Roman Buckow, Sonja Isbarn, Dietrich Knorr, Volker Heinz, and Anselm Lehmacher (2008) Predictive Model for Inactivation of Feline Calicivirus, a Norovirus Surrogate, APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Feb. 2008, p. 1030–1038









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