低温調理

セレウス菌 食中毒予防のために

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セレウス菌による食中毒は平成29年で、発生件数5件(食中毒件数全体の0.5%)患者数38人(食中毒患者全体の0.2%)となっている。

概要

セレウス菌(Bacillus cereus)環境に広く分布している本菌は食品への汚染の機会が多く、食料・食材・調理加工食品の衛生的な取扱いがなされなかった場合、腐敗・変敗をもたらしたり、食中毒をもたらすことがある。さらに汚染された輸液ラインからの血液感染や種々の日和見感染(気管支炎、胸膜炎、 心内膜炎、髄膜炎、肺血症、眼球炎、)をもたらす。本菌食中毒は主に嘔吐をもたらす嘔吐型菌と下痢をもたらす下痢型菌による。

出展:「食品衛生の窓」東京都福祉保健局ホームページより

特徴

土壌、空気および河川水等の自然環境、そして農産物、水産物および畜産物などの食料、飼料等に広く分布する。

わが国においては、大半が嘔吐型食中毒。

7.5%の食塩存在下でも発育できる。(FDA, 2012)

4~10℃の低温でも増殖する菌株が存在する。(EFSA, 2005)

発育条件

耐熱性芽胞を形成。菌株によっては4℃~50℃で発育するものもある。

原因名 倍加時間 発症菌数 発育条件 至適条件
温度域 pH 水分活性 温度域 pH 水分活性
セレウス菌 17分 10~48℃ 4.9~9.3 0.91以上 28~35℃ 6~7 0.98

倍加時間:世代時間、平均世代時間とも言う。微生物が1回分裂して倍の量になるのに要する時間。(ここでは栄養の十分にある発育に適した条件での数値)

pH:7なら中性、それより大きければアルカリ性、小さければ酸性

水分活性:食品の水分は%で表さないで、食品中で微生物が生育するために利用できる水分割合を示す水分活性Aw(Water activity)として表示される

症状

下痢型食中毒の感染菌量は105 108 /g で、嘔吐型食中毒 のセレウリドの最小発症量は約1 μg 程度と推定されている。

下痢型

潜伏期間 0.56 時間

悪心 嘔吐

嘔吐型

潜伏期間 816 時間

腹痛 水様下痢

原因食品

穀類及びその加工品(焼飯類、米飯類、 麺類等)が最も多く、次いで複合調理食品(弁当類等、調理パン)です。その他には、魚介類・ 肉類・卵類・野菜類及びその加工品、乳及び乳製品、菓子類が原因食品となった事例もあり)。これらの原因食品のうち、我が国で発生の多い嘔吐型の食中毒ではチャーハン、ピラフなどの焼飯類による事例が最も多く、次いで焼きそばやスパゲッティなどの麺類。

予防・対策

一般食品で通常見られる程度の菌数(10103 /g 程度)では発症しないが、セレウス菌は耐熱性の芽胞を形成するため、加熱調理された食品でも室温で放置すれば、この菌の発芽増殖を招くので、増やさないことが大切。

  • 大量調理せずに、調理後はすぐに食べる。
  • 調理後に食品を保存する場合は、小分けにするなどして8℃以下で保存し、保存期間は可能な限り短くする。

汚染実態

日本を含む諸外国の食品中の B.cereus の食品一般における汚染菌量は概して低く、10103 CFU /g の範囲にある。(食品安全委員会, 2011

種々の食品からの B.cereus の検出率をみると、魚介類およびその加工品(さしみ、練り製品、フライ、コロッケ等)では 3~16 %、食肉および食肉加工品(生肉、ハム、ソ-セ-ジ、ギョウザ、シュ-マイ)では 1~16% とされています。また、乳および乳製品(牛乳、低温殺菌乳、クリ-ム)からの本菌の検出率は 2 ~100 % です。乳などの汚染は2次汚染によるところが多いですが、乳房炎に起因することもあります。また、澱粉およびその加工品(生米、めん類)からは 6 ~ 91 % 、野菜、果実およびその加工品(豆腐、果実、ナッツ、野菜)からは 51~56 %の率で検出され、とくに豆腐の汚染度が高いことが報告されています。米飯類(米飯、にぎり、いなり寿司、焼きめし)、サラダあるいは調理パンも 6 ~74 %から検出されています。調味料およびスパイスからの B. cereus 検出率は 10~53%であり、スパイスは食肉料理、ハム・ソ-セ-ジなどに対する2次汚染源として重要です。

死滅温度と時間

D値は菌株、脂肪量、pH、水分活性その他の要素で異なります。D値とは菌数を10分の1にするのにかかる時間。

生乳、ニンジンジュース、水でのセレウス菌のD値 (Salwa Abu El-Nour et al.,2013)

85℃ 24.935.2分 90℃ 7.611.6分 95℃ 2.44.7

米におけるセレウス菌のD値 (van Asselt and Zwietering, 2006)

100℃ 1.27.5分 120℃465データ点の平均)2.5

おわりに

食中毒の原因のひとつであるセレウス菌について、正しく恐れるための参考になればと思います。正しく恐れ、正しく予防・対策をすることで食中毒にならないように。また高齢者、妊婦、小児等の一般的に抵抗力の弱い方については、より一層の注意が必要です。

 

参考:国立感染症研究所HP

農林水産省 食品安全に関するリスクプロファイルシート

内閣府 平成21年度食品安全確保総合調査 「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」 社団法人 畜産技術協会作成 平成223

厚生労働省HP

「食品衛生の窓」東京都福祉保健局 HP

公益社団法人 日本食品衛生協会 HP

MPI - Ministry for Primary Industries New Zealand HP

anses  Data sheet on foodborne biological hazards

国際酪農連盟日本国内委員会 乳および乳製品中の Bacillus cereus(セレウス菌) IDFファクトシート-2016 12

上田 成子「Bacillus cereus 食中毒と検査」THE CHENICAL TIMES 2013 No.2(通巻228) p11-18

Michael P. Doyle and Larry R.Beuchat (1995) ’Food Microbiology Third Edition’

KATHERINE M. JOHNSONt AND F. F. BUSTA (1984)Heat-Induced Temperature Sensitivity of Outgrowing Bacillus cereus Spores, APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Apr. 1984, p. 768-774

Salwa Abu El-Nour, Ali Hammad ‘Inactivation of Bacillus cereus spores in liquid food by combination treatments of heat and irradiation’ Food Science and Quality Management ISSN 2224-6088 (Paper) ISSN 2225-0557 (Online) Vol.19, 2013

 









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